私が地震(各種自然現象)による被害を受けにくい住宅環境として「マンションの3階・4階」がベストと考えている理由!を語ってみたいと思います。
私は、あまり地震に対して”怖さ”を感じることはありません。それは、多少、もともとの性格的な特性もあるのでしょうが・・地震活動の姿をきちんと理解していることが、大きな要因となっているものと思っています。
上記の記事の中でも、そんな話をさせていただいています。
とはいえ、「地震のことを理解している」ことだけでは、防災対策としては、当然不十分ですよね。
地震が発生した時に、「被害を生じさせない環境(住宅・生活環境)を整えておくこと」が防災対策として必要不可欠な要素となるからです。
目次
私が実践している住宅環境対策。
私は、一級建築士を本業としていることもあって、「建物の構造的な特性」に関しても、多くの知識・情報を得てきています。
そんな「住宅環境特性」と「各種自然現象の特性」「自然環境の特性」の双方を加味する中、地震活動など各種自然現象に対して、影響を受けにくい(被害を生じにくい)住宅環境(生活環境)を選択するようにしています。
簡単に言うと
ということなんですね。
以前から、「自然現象に対して、被害を生じさせてしまうのか、生じさせないのかは、人次第」ということを度々お話していますが、まさにそれを実践している形なのです。
被害が生じにくい生活環境を整えておけばいいのですから。
私は、6階建てマンション(RC造)の3階・4階の住戸を選んで住んでいます。
これから、お話するのは、あくまでも「私は、こんな生活環境・住宅環境に住んでいたい」という内容です。
”どんな家に住みたいか”ということは、当然、人それぞれの価値観に沿うものですからね。
ですから、他の方の考え方を否定するものではありませんので、よろしくお願いいたします。
ちなみに、ここでは”戸建て住宅”には触れませんが、それは、そもそも私が「住宅は所有したくない」と考えているから。
まあ、もっと日本においても良質な”賃貸戸建て住宅”が多く供給されるようになってくれば、選択対象となってくる可能性はあるかもしれません。
とにかく、現時点で私が基本(住宅環境)としているのが
です。
実際、現在、私が住んでいる住宅は、6階建てマンション(RC造)の3階住戸となっています。
それは、マンション(RC造)の3階or4階の住戸が最も自然現象による影響を受けにくい(自然災害を生じにくい)住宅環境と考えているからです。
その理由をいくつかお話してみたいと思います。基本的には、消去法による内容となります。
1)1階の住戸は、最も自然現象による影響を受けやすいから。
消去法の要素の一つ目が、”1階の住戸”です。
何故か、昔から”1階住戸”は、わりと人気があるようなのですが・・。私としては、最も最初に除外している住宅環境となっています。
その理由は簡単。
一番、自然災害を生じやすいからです。
地震に対しては、高層階と比較すると影響は少ないものの、「3階・4階周辺」と比較すると、影響が生じやすい傾向があるんですね。
その他、なんといっても・・
*台風・強風時に飛来物による被害を受けやすい。
*周辺への落雷による被害。
などが生じやすいからです。
他にも、自然現象ではありませんが・・。「虫の侵入」も他階と比較すると圧倒的に可能性が高い環境となりますしね。
2)最上階は、「日射の影響」「落下物の影響」を受けやすいから。
建物の階数に関わらず、最上階の住戸は、とにかく、「日射の影響」が強くなります。どんなに断熱性能を高めていたとしても、住宅の経年劣化は防げないもの。他階と比較すると、日射による”熱”の影響を受けることとなります。
その他、確率は低くとも、「落下物の影響」も懸念要素として存在しています。飛行機などからの落下物(部品など)や竜巻などにより巻き上げられたものが落下してくることが考えられます。
3)高層建物・タワーマンションは、長周期地震動の影響を受けるから。
タワーマンションに関しては、下記の記事にて、”火災に対するリスク”があることもお話しています。
*地震時のタワーマンションの弱点(課題)!内部で発生した火災による全焼の危機。
近年の高層マンションなどでは、免震構造や制震構造を導入した建物が建てられるようになっていますが、それでも大半のマンションが従来の耐震構造ま建物。
そこで、問題となってくるのが、「長周期地震動による揺れの増大」による影響です。
実際に、この問題は2011年3月11日に発生した東北太平洋沖地震の時に、体験している方も少なくないのではないでしょうか。
■震源地(東北太平洋沖)から遠く離れた、”大阪”で生じた揺れによる被害。
東北太平洋沖地震は、三陸沖から茨城沖にかけて広い範囲が震源域となりました。ゆえに、多くの地域でしっかりとした”揺れ”を感じることとなったのですが・・。
特に注目されたのが長周期地震動による構想建物の揺れ増幅という現象です。
新宿の高層ビル群や湾岸地域の高層マンションなどが、目で見てわかるほど、大きく揺さぶられることとなりました。
新宿の高層ビルでは、高層階にて平均して、「40cm程度」の揺れ幅となったと言われています。
地震活動の影響を考えるときに、重要なポイントとなるのが、『建物の共振現象』です。
少し詳細な話をすると。
地震の揺れには、「振幅」と「周期」という二つの要素が存在しています。
この振幅と周期は、「地盤特性(主に地盤の硬さ)」によって、左右されることとなります。
具体的には「軟らかい地盤では振幅が大きく(周期が長くなる)なり、硬い地盤では振幅が小さくなる(周期が短くなる)傾向がある。」のです。このような地盤が有している”揺れの周期”特性のことを『卓越周期』と呼んでいます。
を意味しています。
簡単に言うと
ということなんですね。
そんな共振の危険性があらためて確認されたのが、東北太平洋沖地震だったのです。
先ほど、新宿の高層ビル群において、共振作用により高層階で「40cm程度」の揺れ幅を生じたことを記しましたが・・実は、さらに遠方の”大阪”にて、もっと大きな共振現象が発生していたのです。
それが「大阪府咲洲庁舎での被害」なのです。
大阪府咲洲庁舎は、地上256メートル55階建ての建物。東北太平洋沖地震の震源域から770キロも離れた場所に位置しています。
大阪府咲洲庁舎の周辺地域では、”震度3”程度の揺れが観測されただけなんですね。しかし、大阪府咲洲庁舎の高層階では、建物の損傷被害が多く発生したことが報告されているのです。
大阪府咲洲庁舎は、軟弱地盤に建てられた建物。その地盤環境にて、”6.5秒”という長い周期の地震動が生じたことが推察されています。
で・・丁度、大阪府咲洲庁舎の建物は「約6.5秒という固有振動」を有していたんですね。ゆえに、激しい共振現象が生じることとなりました。
高層階では、なんと『3m程度』の揺れ幅が生じたとのこと。新宿の高層ビル群の揺れ幅「40cm」よりもはるかに大きな揺れを生じたこととなります。新宿の高層ビルでの揺れもかなり恐怖を感じたとのことですから・・3mもの揺れ幅となると尋常では無かったことが想像できますよね。
なんと周辺地域と比較して、「揺れが50倍に増幅」されているんですね。
これはあくまでも1例ですが。その後、”長周期地震動に伴う共振の危険性”が検証される中、各地の大都市圏には、このような危険な共振が生じる可能性の有る高層建物が多く存在することがわかってきました。
大阪での事例のように、周辺地域では、”震度3”でなんともない揺れなのにも関わらず、高層・超高層建物(マンション)の中には、長周期地震動によって、想像を超える揺れ被害が生じる可能性があるのです。
■10階建てマンションの高層階は、大きく揺れるもの。
マンションは、建物効率の側面から、マンション規模で言うと「5・6階建て」「10~12階建て」「20階建て以上の高層建物」が建設されることが多いものです。
私は、「5・6階建てのマンション」が最善だと考えているわけです。
先ほど、高層マンションの危険性について、お話しましたが、「10~12階建てのマンション」について、も簡単に触れておきたいと思います。
これは、実験資料(実験動画)がありますので、下記動画を見ていただくのが最もわかりやすいかと。
これはRC造の10階建て建物を”震度6強”設定にて、揺らしてみたときの実験動画となります。
見ていただければ、わかるかと思いますが、上層階は、すごく揺れてますよね。(建物倒壊の危険はないことも併せてわかるかと思います。)特に、最上階(10階)は、揺れ幅が大きくなっています。
対して、「2階・3階・4階」辺りは、揺れ幅が少ないこともわかるかと思います。
そう、基本的に5階建て~10階建てのマンションの場合、「3階・4階」は、揺れにくい(最も揺れが小さい)んですね。
てずから、私は、「3階・4階の住戸(マンション)」を選ぶようにしているわけです。揺れの影響が少ないから。