「大規模地震の発生確率」という無駄な情報をいつまで垂れ流しているのか?
先週、「強い揺れへの備えを改めて徹底する機会に 日本海溝沿いで大地震が起きる高い発生確率を地震調査委員会が公表」という情報が科学系ニュースとして取り上げられました。
”地震の発生確率”は地震調査委員会が定期的に公表しているものなのですが・・・。これがまったくの無意味といいますか、無駄な情報なんです。
目次
「大規模地震の発生確率」の無意味さを検証。
”地震調査委員会”は、地震に関する調査研究の結果などを収集,整理,分析して総合評価を行なう政府組織です。
地震防災対策特別措置法に基づき,日本の官公庁の一つとして文部科学省の特別機関地「震調査研究推進本部内」に設置されています。
そんな地震調査委員会の主業務として、定期的に公表されているのが
*地域別の大地震発生確率
なんですね。
で・・「最新の大地震発生確率」が2月下旬に地震調査委員会から公表されたわけです。
そんなニュースを目にして、私がツイートした内容が下記です。
例えば大規模地震「確率90%」の地域と「確率10%」の地域にて、じゃあ明日「10%の地域」なら大規模地震の心配の必要ないのか?というと結局、90%でも10%でも、明日、大規模地震が発生する可能性はあるわけです。確率なんて変な誤解を与えるだけ。無意味な情報です。 #地震は確率ではない
— ポッポ体感地震予測日記 (@poppojishin) 2019年3月20日
毎年、”大地震の発生確率”という話に遭遇するたびに思うのですが・・。
※地震という自然現象に対して、”確率”で語ることはできないということ。
です。
”地震発生の確率”の無意味さに関して、少し深堀してみたいと思います。
地震発生確率が無意味な理由1:大規模地震の発生周期
”確率”で語られる身近な自然現象の「雨」との比較をしてみたいと思います。
日々の天気予報にて、「明日の雨の確率80%程度」といった情報は、私達にとってとても身近なものとなっていますよね。
実際、今日や明日の「雨の確率」は実生活にてとても役立っています。
それは、たまに予報が大外れとなることはあったとしても、「雨が降るのか降らないのか」の十分な目安となっているからです。
このような情報(雨の確率)が身近にあるがゆえに、「大規模地震の発生確率」もついつい、信じてしまっている方も多いのではないでしょうか。
しかし、同じ自然現象であっても”雨”と”大規模地震”では、大きな違いがあるのです。
それが
*発生周期
なんですね。
”雨”は日本において、「一ヶ月間雨が降らない」というケースも稀にありますが、平均的に考えると「一週間に一度」くらいの周期で雨が降っています。(季節によって、周期は変化していますけどね。)
ある年の「年間降雨日数」を見ると、最も降雨日数の多かった”秋田県”にて「177日/年」。最も少なかった”山梨県”でも「82日/年」。
平均すると「120日/年」も特定地域にて、雨という自然現象が発生していることがわかります。
対して、”大地震”に関して考えると、大規模地震(M7以上)は、「数百年単位」「数千年単位」の周期性を有しているものと考えられています。
例えば、「東京都」を対象とした場合
*雨は120日/年間
観測できる(雨が降る)わけですが
*大規模地震は「1回/数百年」
ということ。年単位で考えると、「0回/年間」が普通なわけです。
”確率”というのは、「●/■」といった形で表されるもの。
”雨”という自然現象に関しては、「年」「月」といった母数単位となるわけですが。
”大規模地震”となると、少なくとも「数百年」が母数単位となることに。
”雨”は人の時間感覚と同じ時間感覚(周期)を有していますが、”大規模地震”は人とは異なる最も大きな周期の時間感覚を持つ自然現象
なんですね。
”確率”が参考なるのは、人と同じ時間感覚に属する要素のみ。
人と異なる時間感覚を持つ要素は、”確率”の対象外となるのです。
地震発生確率が無意味な理由2:確率に関わらず明日、大規模地震が発生する可能性が常に存在するから。
「理由その1」は、少々理解しにくい方もいたかもしれませんが・・。
最もわかりやすい理由があります。それが・・。
*確率に関わらず、明日、大規模地震が発生する可能性は常に存在しているから。
です。
地震調査委員会が公表している地震確率というのは、「今後30年間以内に大規模が発生する確率」を示しています。
これが罠といいますか、まやかしなんですよね。
じゃあ、大規模地震の発生確率が「90%」の地域というのは、明日、大規模地震が発生する確率が「90%」もあるのか・・というとそういう意味ではないからです。
結局、「1%」の確率であっても、「90%」の確率となっていたとしても、明確に言えることは
*明日、大規模地震が発生する可能性が常にある
ということだけ。
”雨”の確率予報とは、全然意味が違うわけです。
だとしたら、地震発生確率「1%」とか「90%」とか何の意味があるの?
となりますよね。
防災意識を喚起させる目的ならば、「1%」とか「90%」という確率表記は誤解を与えて逆効果を与えてしまいます。
実際、過去に「地震発生確率0%」と言われていた地域で大規模地震が発生した事例は、いくつもありますからね。
例えば
※2008年(平成20年)6月14日に発生した、岩手・宮城内陸地震(M7.2)
などは、発生確率「0%」と考えられていたエリアでの地震でした。
地震に関する”確率表記”は無駄なだけでなく、誤った認識を人々に与えてしまう要素。即是正すべき(中止)情報だと考えています。